姿勢学習の中身について
人間が生きていく上で、脳が最優先事項として扱っているのは「活動できること」です
歩く。働く。食べる。子育てをする。人と関わる。
活動が止まれば、生存も、回復も、学習もできなくなります
やりたい事をやる為に生きている。とうぜんですよね。
だから脳は活動を維持するために、視覚(周囲の状況)、前庭感覚(身体の傾きや加速度)、固有受容感覚(手足や関節の位置)、足底感覚(荷重位置)などの情報を集め、「このまま動いたら次に何が起きるか」を予測しています。
ここで大事なのは、予測は便利だから行っているだけではないということです
人間が生きる環境には変数が多すぎます
気温も変わる。湿度も変わる。疲労も変わる。ストレスも変わる。地面も変わる。生活環境も変わる。
もし毎回ゼロから計算(演算)していたら、活動予測するだけで膨大なエネルギーを使ってしまいます
だから脳は、過去の経験、データを参考にして「だいたい次はこうなるはず」と先回りします
これは手抜きではなく、活動を効率化するための省エネ戦略です
例えば歩行では、一歩先の地面を予測しながら身体を運んでいます
目をつむれば、地面があるとわかっているのに怖いですよね?不安ですよね?これは予測がゼロになるからです
つまり予測が常時発動しているから、人は何も考えずに歩行(活動)できます。
ところが生活は毎日変化します。
そんな生活の中でとうぜん疲労。柔軟性低下。睡眠不足。ストレス。気圧、気温、湿度、などの様々なトラブルが起こります。
すると脳が予測していた身体と、実際の身体との間に小さな誤差が生まれます
一つひとつは気付かないほど小さなものですが、しかし脳は、その誤差を常に警戒しています
なぜなら、その小さな誤差が積み重なった先におこる活動の問題を予測しているからです
歩くことも。働くことも。子育てをすることも。食べることも。思考することも。
すべて身体を安定して支え続けられることが前提になります
だから脳は、活動の土台となるバランス戦略が破綻しそうな未来に敏感になります
その際に相性がとても悪いのが「転倒リスク」です。
ここで言う転倒とは、実際に転ぶことだけではありません
身体が予測していた位置と、実際の身体の位置とのズレが大きくなり、活動の土台となるバランス戦略に誤差が生じることです
しかも脳は、その破綻が起きてから対応するのではありません!!
脳の仕事は、問題が起きてから反応することだけではなく、問題が起きる前に予測することだからです。そっちの方が大切ですよね?
そこで脳は、活動を維持するために新しいバランス戦略を先回りして採用します
荷重位置を変える。重心移動を変える。関節の使い方を変える。筋出力の配分を変える
すると活動は成立します
歩けます。働けます。生活できます。
だから本人は気付きません
脳の予測が成功しているからです。
ただし、その成功には必ず代償が含まれます
活動を守るために戦略を変えた瞬間、本来とは違うバランス戦略が始まるからです。
そして問題は代償の大きさではありません。回数です。
脳は、その戦略によって活動を維持できたという結果を記録します
そうして記録した結果を活動戦略として「再利用」することで予測の省エネ化も実現させます。なぜなら起きてしまった問題に対処したいからです。
さらに脳が学習、採用しているのは活動量そのものではなく、同じ戦略を何回使ったかかもしれません
歩数の多さでだけではありません。運動量の多さでもありません。
同じバランス戦略を何回再生したかです。
たとえば姿勢制御の中でものすごい頻度で反復します
その結果、最初は活動を守るための臨時の工夫だった戦略が、その人の標準設定になっていきます。
だから身体の問題とは、壊れた結果ではなく、「活動維持に成功した過去の戦略」が残っている状態なのかもしれません
そして本当に必要なのは、その戦略を否定することではありません
なぜその戦略が必要だったのかを理解し、昔は正解だったけれど、今はもっと良い選択肢があることを身体に再学習してもらうことなのです。
以上です。姿勢学習の根本的な考え方をあらためて言語化してみました。
ちょっとわかりずらいのか?わかりやすいのか?
一応、わかりやすく書いたつもりです。伝わるといいなー笑
また書きます
江口

