変形性膝関節症(膝OA)を良くするには

変形性膝関節症(膝OA)のキーマッスルは「膝窩筋」であることは周知の事実かと思います。 

 ですが!結局のところは何故、膝窩筋か?

のところまで思考、目線が届かないと対処療法の枠を抜け出せない。つまり緩和してるけど治せてはいない。

となります。  ものごとの本質は?なんなのか?

本質(重心、脳)→構造(筋筋膜・骨関節・神経)→現象(痛み) 
という痛みの絶対公式は変わりません。  

そして、構造である筋筋膜・骨関節・神経の走行や形態や起始停止は個体によって異なるのです。  
そんなわけで、膝窩筋も人によって違うということも確認しつつ、膝窩筋はどのように形態学的特徴があるのか?深ぼっていきたいと思います。 

そして、臨床でさらに膝窩筋に対して細やかなアプローチができるようになれば、これ幸いです。  

まず、膝窩筋は全長のほぼ上方1/3は腱からできており、また下方2/3は筋質からできています。  

この特徴を踏まえて、日本医科大学の解剖についての研究内容を記載いたします。  

検体数:50名(男性42、女性8)
合計:100例の膝窩筋を観察  

1型:膝窩筋腱が大腿骨の外側顆から始まる。外側側副靭帯の内側を下内側方に走り、膝窩筋腱の起始部は外側側副靭帯と区別できる。
全体の62%で最も多い。教科書ではほとんどこの書き方をされてます  

2型:膝窩筋腱が大腿骨の外側顆から始まる。外側側副靭帯の内側を下内側方に走り、初めの方で、外側側副靭帯と結合してる。全体の10%。  

3型:膝窩筋腱が大腿骨の外側顆から起こらない。外側側副靭帯から起こる。全体の7%  

4型:膝窩筋腱は外側側副靭帯とともに、大腿骨の外側上顆から外側顆にかけて広く起こる。
膝窩筋拳は外側側副靭帯の後内側部から起こり、両者の起始部の境界は区別しにくい状態。全体の12%  

5型:膝窩筋腱の主大部は1型と同じように大腿骨の外側顆から下内側方向に走行していくが、その方向の途中で膝関節包からの線維群が加わる型。全体の9%  

さて以上のことから、膝窩筋は外側側副靭帯と結合している場合もあれば関節包と結合している場合もある。という個体差があるという結論に至ります。 

 膝窩筋がタイトになって外側側副靭帯や関節包に対して「直接」メカニカルストレスを与えるのです。  
ここが大事な視点です!!! それにもかかわらず教科書では、62%の1型を取り上げるため「臨床での痛み」が言語化できないことがあります。  

新人の頃はこういった知識不足でどれだけ悩まされたか。。。  

大事なこととして冒頭でもお伝えしたように、膝窩筋がそもそも固くなるのは膝窩筋に負担がかかる所で重心が固定されているからです。   重心がそこにあるから、一定の関節・筋筋膜・神経に負荷がかかってるんです。  抽象度をあげて、全体像も思考し言語化できるようになっていきましょう。
では、あらためて


臨床的に考察していくと

以上のデータから現場、臨床的に
教科書的な「1型(62%)」の知識だけでは、臨床で遭遇する残り約4割の「違和感」や「取れない痛み」を説明できないよー!となります。

特に、外側側副靭帯(LCL)や関節包と線維が混在しているケース(2型〜5型)を想定できるかどうかで、触診の精度とアプローチの強弱、方向性が劇的に変わらないと!って所ですかね。

1. 「構造」の深掘り:連結がもたらすメカニカルストレス
日本医科大学の研究データにある通り、LCLや関節包との連結がある場合、膝窩筋のタイトネスは単なる「筋肉の硬さ」に留まりません。

ここが新人治療家の「筋肉の硬さ」くらいしか問題視できないケースにおける、視野の広げ方!の具体例として適切ではないか!と「膝窩筋」の話を江口がするキッカケとなりました。

• LCL連結型(2型・3型・4型):膝窩筋が収縮または短縮した際、ダイレクトにLCLを牽引します。これにより、外側靭帯由来の痛みと誤認されたり、膝関節の側方の制動性に影響を与えたりします。


• 関節包連結型(5型):膝窩筋は「関節包を後方に引き出す」役割も担っていますが、癒着や過緊張がある場合、膝伸展時に関節包を挟み込むインピンジメントの原因にもなり得ます。


2. 「本質(重心)」へのパラダイムシフト木からの介入では、構造への介入だけでは不十分です。なぜなら、「なぜ膝窩筋がそこまで頑張らなければならないのか?」という問いの答えは、「森の視点」重心位置にあるからです。


重心固定と膝窩筋の相関

膝窩筋は膝関節の「鍵」と呼ばれますが、重心が以下の状態にあるとき、膝窩筋は過剰にロックされます。

• 後方重心 + 膝関節の過伸展(反張膝)傾向:重心が後ろに残ったまま前進しようとすると、膝後方の支持機構に過度な依存が生じます。• 外側荷重の固定:スウェーなどにより重心が外側に偏位し続けると、外側支持機構(LCL等)と連結する膝窩筋に持続的な緊張が強制されます。

「膝窩筋を緩める」という手技(現象への介入)を、「重心制御の結果として膝窩筋を解放する」という思考(本質への介入)へ昇華させる。
木から森へ。それができれば、やっと森から木ができます。

今回の解剖学的バリエーションの知識は、その「構造」の解像度を高めるための強力な武器になると思います。

解像度が高いからこそ、本質である「森目線、重心」との乖離に気づけるのだと感じます。

この視点を持つ治療家が少しずつ増えれば、膝OAで悩む患者さんの「言語化できない痛み」を救い上げる一助になるはずです。共に楽しみながらレベルアップしていきましょう!

さらに、さらにアプローチについても少しだけ笑

1. 膜由来の遠隔アプローチの適切さと「解像度」
遠隔アプローチ(アナトミートレイン等)は非常に有効ですが、その「解像度」が成功の鍵を握ります。できる、できないで物事をみるのではなく、0か1ではなく、1だと認識している変化(治療成功)が実は、0.5とかなんなら0.3とか0.7とか1が本質的な改善だとした場合にはその場の変化の出方に満足しているようでは初心者です。

• 解像度が低い状態: 「膝が痛いから、筋膜連結で繋がっている大腰筋を緩めよう」という、マニュアル的な思考。


• 解像度が高い状態: 「膝窩筋のタイトネスが、どのラインのテンションによって引き起こされているか」を触診と動きで特定すること。
膝窩筋は「ディープ・フロント・ライン(DFL)」の一部として機能することが多いですが、もし患者の重心が「外側」に固着しているなら、外側のライン(ラテラルライン)の影響を強く受けているはずです。

遠隔アプローチの適切さは、「その膜のテンションを抜いた瞬間に、膝窩筋のトーンが指先でフワッと変わるか」というリアルタイムのフィードバックで決まります。

ここも0→1志向にとらわれないようしたいですね。


2.木を見る。 局所アプローチは「ベスト」ではなく「最善」か?
結論から言えば、局所(膝窩筋)への介入は、「構造の再定義」として必要不可欠なステップです。

• なぜ局所が必要か: 長期間の重心のズレにより、組織(膝窩筋や関節包)に物理的な「高密度化(線維化)」や「癒着」が起きている場合、重心を整えただけでは組織の滑走性は即座に戻りません。


• 最善の定義: 「重心を整える(入力を変える)」ことと「局所の滑走性を出す(出力を変える)」ことを同時並行で行うのが最善です。
局所を「点」で捉えず、周囲のLCLや関節包との「関係性(滑走性)」を修復する作業と捉えると、それは単なる徒手療法ではなく、構造のリセットになります。


3. 重心調整の優先順位と「ブレない検査法」「どこから手をつけるか」で迷うのは、視点が「部位(パーツ)」に向いているからです。これを解決するには、「重心のベクトル」を検査の軸にします。

調整の優先順位:どこから?

木の視点で言うと膝窩筋とは?機能解剖的には
基本機能

* 膝伸展位からの「ロック解除」* 脛骨内旋(荷重時は大腿骨外旋制御)* 後外側支持機構の安定化* 外側半月板の後退補助
つまり膝窩筋は
「動かす筋」ではなく「ズレを止める筋」これが木の視点の本質ですよね。


* 1型(62%)だけが教科書的* 38%はLCLや関節包と直接関係を持つ
ここが臨床的爆弾。なぜなら膝窩筋は

* LCLと融合することもある* 関節包から線維が加わることもある* 起始境界が曖昧なこともある
つまり「単独筋ではない可能性がある」ということ。

これは何を意味するか?

膝窩筋がタイトになる=後外側複合体全体が緊張している可能性!!

膝窩筋は「常に外旋ストレスを制御する位置」にいます。

もし重心が
* 外側荷重→ 後方偏位→ 下腿外旋固定→ 股関節外旋優位→足部回外固定
などに固定されていたら?膝窩筋は「止め続ける筋」になります。止め続ける筋はどうなるか?
この辺は「骨連鎖」的なキネティックチェーン視点で考察するとむしろ
とっつきやすいかも。ですね。


等尺性収縮持続→ 血流低下→ 筋膜滑走不良→ 周囲組織への牽引

結果:
LCLに継続的なストレス→ 関節包牽引→ 半月板後角ストレス→ OA進行



ここで森の視点!
■ 本質(重心)重心が後外側に固定される何かが起きる→ 回旋バランス破綻→ 足部〜股関節連鎖エラー

■ 構造  膝窩筋等尺性固定→ LCL牽引→ 関節包緊張→ 後外側関節圧増大

■ 現象  外側膝痛、 階段下降痛、伸展終末痛、 変形性膝関節症進行

つまりキーマッスルの膝窩筋の正体は「重心の回旋エラーを最後に止めている番人」だから。つまり膝窩筋は犯人ではない。膝窩筋は“犠牲者”です。ここが本質。


 臨床でさらに細やかにみるなら個体差を踏まえると見るべきは:

① LCLとの滑走→ 外側圧痛部位がLCL寄りか?
② 関節包の張力方向→ 伸展終末で痛むか?→ 内旋で痛むか?
③ 下腿回旋固定→ 脛骨外旋位で固まってないか?
④ 足部回外優位→ 立位で小趾荷重強くないか?
⑤ 股関節外旋固定→ 歩行時toe-out強くないか?


さらに抽象度を上げると、膝窩筋は「ズレを止めるための最終ストッパー」

人間は痛みよりバランスを優先する!だから重心がズレたままでも、とりあえず止める。止める役割を担わされたのが膝窩筋。だから固まる。

もし膝窩筋だけを緩めると?→ 一瞬ラク→ でも重心変わらない→ 再固定
だから


1. 回旋エラーを取る
2. 下腿の自由度を戻す
3. 足部の接地再構築
4. 股関節連鎖を修正
5. 最後に膝窩筋を解放

順番が逆なんです。

結論、膝窩筋がキーなのではない。「重心の回旋固定がキーポイント」膝窩筋はその最前線にいる。

以上のことからも、本質(重心)→構造→現象これは極めて理にかなった視点だと理解できると思います。

こういうことを普段やっている整体店です。

西荻窪でやっています。徒歩5分くらい。

大安吉日治療店です、よろしくお願いしまーす!!